
Bellum クローズドアルファサーバーが日本時間の11月22日(土) 03:00~ 11月24日(月) 11:00の間で開催された。Bellum は「リアル系ミリタリーFPS」の中でも、特に 兵士の動作・弾道・医療・兵站まで“戦場そのもの”を再現する方向へ振り切った作品 であり、クローズドアルファ段階にもかかわらず、国内外で大きな注目を集めている。
今回、クローズドアルファ専用サーバーにて実際にプレイした動画を参照しながらレビューを行うことで、
- 現時点で Bellum はどのレベルまで仕上がっているのか
- どのポイントが他FPSと決定的に違うのか
- 今後の正式リリースに向けた課題は何か
を整理していく。
特に、本作はプレイヤースキルだけでなく、
分隊戦術・役割分担・情報共有が勝敗の鍵となる“戦術寄りFPS” であるため、評価軸も一般的なFPSとは大きく変わる。
本レビューでは、プレイ動画で確認された挙動・雰囲気・ゲームテンポを中心に、リアル系FPSとしての完成度を客観的に解説していく。
Bellum の基本コンセプトと世界観

Bellum は、公式サイトで「Modern Infantry Combat Simulator」と表現されているように、現代歩兵戦をリアルに描くことに全力を注いだタイトルだ。
その方向性は、以下の3点に明確に現れている。
“リアルな戦場”の再現に全振りした設計
Bellum は、ゲームとしての快適さをあえて犠牲にする箇所すら存在する。
それほどまでに、 弾道・遮蔽物・負傷・医療・補給 など、実際の歩兵戦で重要な要素を丁寧に再現している。
プレイ動画でも、
- 着弾時の跳弾角度
- 遮蔽物貫通後のダメージ低下
- 出血状態から蘇生までの処理
- 弾薬管理による戦線維持の限界
これらが明確に描写されており、まさに “シミュレーター寄りFPS” といえる構造だ。
分隊単位(Squad)で成立するゲームデザイン
Bellum の根幹にあるのは 分隊行動の必然性 である。
単独行動ではほぼ生存できず、
- メディックの治療
- MG(機関銃手)の制圧射撃
- AT(対戦車兵)の支援
- 分隊長の指揮
こうした複数の役割が連携して初めて前進が成立する。
プレイ動画では、倒れた味方の救護や、弾薬の共有など“リアルな軍事行動”が当たり前のように発生しており、突出したプレイヤーだけで試合を支配することは不可能だ。
これは Battlefield系の戦闘規模 × SquadやHell Let Looseの戦術性 に近いが、BellumではUIの簡略化やヘルス情報の非表示化などにより、さらにリアル寄りのテンポに調整されている。
世界観は“現代架空紛争”だが、描写は徹底してリアル
Bellum の舞台設定は、2030年代、アフリカの紛争地域をベースにした架空戦争。
しかし、兵士の装備や武器構成、無線手順などは極めて現実的で、実在部隊の作戦行動を強く意識した演出がなされている。
公式サイトでも、
- NATO規格武器
- 実在モデルをベースにしたアーマー
- 兵士アニメーションのモーションキャプチャ
といった表現が使われており、“ゲームの設定”以上に“現代戦の映像”に近い。
クローズドアルファサーバーと今後のプレイ日程について

Bellumでは、正式サービス前段階として複数回のプレイテストが実施されています。
すでに11月22日〜11月24日にクローズドアルファサーバーが実施され、限定参加者がプレイを行いました。
さらに、次回のクローズドアルファ日程が公開されており、継続的にフィードバックを得ながら改善が図られる予定です。
加えて、12月21日〜12月22日に実施される Holiday Playtests では、すべてのサポート購入者に「友人と共有できる専用アクセスキー」が配布され、対象期間中はそのキーを保有する人であれば誰でもプレイに参加できます。
つまり、従来よりも参加可能人数が広がり、開発に直接関わるユーザー層が増える仕組みとなっています。
プレイ可能日程一覧(クローズドアルファ・Holiday Playtests)
| 区分 | 日程 | プレイ可能時間帯 |
|---|---|---|
| 1st Closed Alpha | 2025/11/22〜2025/11/24 | ※開催済 |
| 2nd Closed Alpha | 2025/12/7 | 3:00〜6:00/10:00〜13:00 |
| 2nd Closed Alpha | 2025/12/8 | 3:00〜6:00/10:00〜13:00 |
| Holiday Playtests | 2025/12/21 | 3:00〜6:00/10:00〜13:00 |
| Holiday Playtests | 2025/12/22 | 3:00〜6:00/10:00〜13:00 |
Holiday Playtestsの特徴
本テストは従来とは異なり、以下の点が明確な特徴となっています。
- 全サポーターに専用アクセスキーを配布
- アクセスキーは第三者(友人など)へ共有可能
- キー保有者全員がプレイに参加可能
- 限定的だが実質パブリックテストに近い開放性
- 初期のゲームユーザーコミュニティ形成として重要
また、Holiday Playtestsで収集される動作データや挙動は、
正式版の操作性・マップの配置調整・銃器数値に反映される予定とされています。
クローズドアルファを通じて見えた「良かった点」

クローズドアルファ版のBellumを実際にプレイした動画を分析すると、このゲームが志向する“リアル系ミリタリーFPS”としての完成度が、すでに高い段階にあることが分かる。挙動・音響・戦術性のいずれも、近年のFPSではあまり見られない「重さ」と「緊張感」がしっかりとゲームプレイに落とし込まれている。その特徴を要素ごとに整理していく。
1. 銃撃戦のリアリティが圧倒的
Bellumの最初の魅力は、銃撃戦の“重さ”と“怖さ”が高く再現されていることだ。
アルファ版の動画でも、
- 発砲時の反動が大きく、照準が跳ね上がる
- 弾道がしっかり落ちる(距離によって命中精度が変化)
- 一発で状況が変わる危険性が常にある
- 着弾音と通過音の方向が非常に分かりやすい
といった特徴が顕著に見られる。
特に着弾音・通過音は非常に生々しく、
“どこから撃たれているか分からずに伏せてしまう”
という、現代戦FPSで嬉しい緊張感が常にある。
2. チームプレイの緊張感が高い
Bellumは個人技だけで戦うゲームではなく、分隊・小隊レベルの戦術で進む“タクティカルFPS”の色が強い。
- メディックが倒れた味方を応急処置する
- 弾薬係が足りない弾を分配する
- MG兵が制圧射撃で味方を前進させる
- ラジオマンが後方に援護要請を送る
というように、各ロールの役割が非常に明確で、誰かが欠けると分隊の動きが成立しなくなる。
クローズドアルファではプレイヤー人口が多くないものの、動画を見る限りでも「役職ごとの責任」が強く表れており、チームで連携する楽しさがしっかり味わえる。
3. UI依存ではなく“状況判断”で戦う設計
Bellumの特徴として、画面上のUI表示が極めて少なく、HUDは必要最低限に抑えられている。
- ミニマップがない
- 敵の方向アラートもない
- ダメージ表示も控えめ
- 「相手がどこにいるか」を視覚・音で判断
動画からも分かるが、これはプレイヤーにとって不親切ではなく、むしろ“緊張感の源”になっている。
「敵を見つける」こと自体が勝利条件の一部であり、
マップを読んだり分隊と連携したりする重要性が自然と高まる。
4. 医療・弾薬・物資面のリアルさ
Bellumでは、弾薬や医療が非常に貴重で、戦闘中に補給する動作や処置にも時間がかかる。
- 包帯を巻くときに数秒間の硬直がある
- 弾薬の受け渡しに“リアルな動作”が入る
- 応急治療と完全回復が分かれている
これらの仕様は、一般的なFPSの「高速回復」「自動リロード」といったカジュアル設計とは対極にある。
しかし、この“面倒さ”こそがBellumのプレイ体験を唯一無二のものにしている。
5. マップの構造が“リアル戦闘”を生む
アルファ版で登場したマップは、
- 開けた丘陵地帯
- 茂みや岩が多い森林地形
- 遠距離からのスナイピングが刺さる高低差
- 建造物の少ない荒野環境
など、戦場としての緊張感を演出する構造になっている。
特に、茂みが濃く視界が悪いため、
「敵がどこにいるのか分からない」状況が長く続く。
これは“リアル系ミリタリーFPS”としては最も重要な要素であり、
Bellumのコンセプトと極めて相性が良い。
6. 声によるコミュニケーションの重要度が高い
クローズドアルファ動画内でも顕著だが、Bellumではボイスチャットやラジオ機能の利用頻度が高い。
- 位置の報告
- 敵情報の共有
- 援護要請
- 移動ルートの確認
など、情報伝達はほぼ“声”で行う。
これにより、ゲームは自然と分隊同士のリアルな連携が生まれ、ミリタリーシミュレーションらしい没入感が非常に高まっている。
7. 武器ごとの役割が明確でメタが単調になりにくい
Bellumでは武器ごとに明確な役割が存在し、メタが一極集中しないように設計されている。
- AR(アサルトライフル)
→ 汎用性が高いが反動が強め - DMR/スナイパー
→ 遠距離戦の要 - SMG
→ 至近距離戦で優位 - MG(機関銃)
→ 制圧射撃によるチーム支援 - AT(対戦車)
→ 車両破壊がメインの特殊技能
“1人のプレイヤーが全てをこなす”のではなく、
“チームが役割を補い合う”という構造がしっかり機能している。
現状で感じた「課題・改善してほしい点」

Bellum はクローズドアルファ段階としては高い完成度を見せていた一方で、リアル系FPSならではの“学習コストの高さ”や“技術的な不安定さ”が残っていた。これらはアルファ版ゆえに当然改善される可能性が高いが、現時点で体験動画や実プレイから見えた課題を以下に整理する。
1. 操作性とUIの複雑さ
Bellum はタクティカルFPSとしてリアリティを優先しているため、操作項目が多く、UIも最小限に抑えられている。
しかしその結果、初見プレイヤーにとっては次のような負担が目立った。
- キー操作が多く、覚えるまで時間がかかる
- アイテム使用・医療行動のステップが複雑
- UI情報(残弾・体力・ダメージ方向)が最小限で“状況把握が難しい”
リアル志向であるほどこの傾向は強くなるため、正式版では
「初心者向けUIの追加」や「チュートリアル改善」が必要と感じられた。
2. マッチングとプレイヤー人口の問題
クローズドアルファゆえの問題だが、
- マッチング時間が長い
- ロール(メディック、ATなど)の偏りが出やすい
- 人数差がある状態で試合が開始されるケースがあった
といった課題が確認できた。特にBellumは分隊戦術が重要なタイトルであり、人数ズレがそのまま戦況の不公平につながるため、今後の改善に期待したい。
3. サーバー・同期ズレ・ラグ
プレイヤーの海外比率が高い状態でテストが行われていることもあり、
- 遠距離射撃時の“ヒット判定遅延”
- キャラクターの瞬間移動
- 一部アニメーションの同期ズレ
といった問題が発生していた。
リアル系FPSでは弾道・当たり判定の信頼性が重要なため、正式版では リージョン別サーバーの増設 が求められる。
4. 日本語対応・地域コミュニティの少なさ
現状、Bellum公式サイト・コミュニティハブは英語が中心であり、
日本語情報は国内メディアや一部のSNSに依存している。
- ゲーム内表記が全て英語
- 日本語ガイドがほぼ存在しない
- 分隊連携にボイスチャットが必須だが、言語壁が大きい
この点は、正式版で 日本語UI/字幕 が追加されれば大幅に解消される。
5. 初動バランスの粗さ(武器・医療・索敵)
アルファ版の現段階では、以下が未調整と思われる。
- 武器間の威力差が大きい
例:一部ARが想定より強く、SMGは扱いづらい - 医療行為が遅すぎて戦況に追いつけない
- 索敵の難易度が高すぎる(草木・遮蔽物が多く敵が見えない)
特にBellumは“見つけられたら終わり”のリアル志向FPSのため、索敵・医療・偵察系のバランス調整は早期に改善される可能性が高い。
6. 新規プレイヤーへの導線不足
リアル系FPSに慣れていないプレイヤーにとって、Bellumは以下の点が壁になりやすい。
- 戦場に放り込まれ、何をすればいいかわからない
- 分隊行動を教えるチュートリアルが不足
- 役割ごとの操作解説がない(メディック・AT・MGなど)
正式版では「初心者訓練ミッション」や「分隊ロールの実践解説」が求められる。
Bellum の将来性と期待できるポイント

Bellum はクローズドアルファ段階にもかかわらず、リアル系FPSとして確かな完成度を示している。特に、分隊戦術・兵站要素・医療システムなどの“リアル志向”を基盤にした設計は、既存作品との差別化に成功していると言える。一方で、将来性の高さはそれだけにとどまらない。ここでは、プレイ体験動画から読み取れた“今後の伸びしろ”を整理する。
プレイヤー主導の開発姿勢が強みになる
Bellum の特徴として、開発チームがプレイヤーの意見を積極的に取り入れるスタイルを取っている点が挙げられる。
つまり、単純な大型パッチではなく、コミュニティと共にシステムを磨く“参加型開発”が期待できる。
この姿勢は、リアル系FPSに多い“コア層のこだわり”に応えやすく、長期的な成長を支える強みになる。
現代ミリタリー×分隊戦術という独自ジャンルの確立
Bellum は「タルコフ×バトルフィールド×スクアッド」の中間位置にある独自のプレイフィールが魅力だ。
しかし、単なる中間ではなく“現代ミリタリー×分隊戦術×リアル挙動”の3軸が明確に設計されている。
このジャンルは競合が少なく、成功すれば大規模タイトルへ発展する可能性が高い。
武器・装備・マップの拡張余地が大きい
クローズドアルファ時点でも武器挙動の完成度は高いが、まだ種類は限定的だ。
つまり、武器カテゴリー・アタッチメント・特殊装備が増えるたびに戦術幅が大きく広がる構造になっている。
また、マップも地形活用型の設計が多く、今後のアップデートで都市・森林・基地などが追加されれば、戦術の自由度がさらに高まる。
競技シーン・ミリタリーSimとしての可能性
Bellum は単なるFPSではなく、戦場シミュレーションとしての側面も強い。
このため、競技性を持たせたリーグ・イベントの運営も視野に入る。
一方で、ミリタリーSimとしての需要も高く、コアファン層の支持を得られれば長期プレイが期待できる。
コミュニティ形成とMod・専用サーバー展開の期待
リアル系FPSは、コミュニティが成熟すると一気にプレイヤー人口が増える傾向がある。
さらに、将来的にMod対応や専用サーバー運用が可能になれば、独自ルール戦・戦術訓練・クラン戦などが活発になる可能性が高い。
この点は、既存タイトル(Squad・Hell Let Looseなど)でも成功例が多く、Bellum も同様の方向性が期待される。
結論 ― Bellum はどんな人に向いているのか
Bellum のクローズドアルファプレイを通じて見えてきたのは、近年のFPSでは希少になった “リアル寄りタクティカルFPSの本質” をしっかり追求したタイトルだという点だ。
派手さやテンポの速さは求めず、代わりに 弾道計算・負傷システム・医療行動・補給・分隊連携 といった、現代歩兵戦に近い要素を積み上げてプレイ体験を構築している。
一方で、リアル寄りであるがゆえに、操作から学習コスト、立ち回りまで全体的に“難しい”印象は否めない。
しかし、これはBellumの世界に深く没入するための条件でもあり、馴染んでくるとその緊張感・達成感は他のFPSとはまったく別物だ。
以下では、どんなプレイヤーがBellumに向いているか、そして向いていないかを整理しておく。
Bellum が特におすすめなプレイヤー
- タルコフ系/Insurgency系/Squad系の“リアル寄りFPS”が好きな人
- 銃の挙動・反動・弾速のリアル感を求める人は特にハマりやすい。
- 分隊行動・チーム連携が重要なFPSを求めている人
- Bellumはソロ突撃が成立せず、分隊の役割が勝敗を左右する。
- 1プレイの密度・緊張感を最重視するプレイヤー
- 踏み込み・無線連携・救助・補給…一つ行動を誤るだけで戦況が変わる重さが魅力。
- ミリタリーシミュレーションとしてFPSを楽しみたい層
- 世界観・兵站・医療など戦術要素の厚みを求める人は特に評価する。
Bellum があまり向かないプレイヤー
- CoD や Apex のような高速戦闘・テンポを求める人
- Bellumは一発の重さと立ち回りが中心で”爽快感系”ではない。
- UI・操作がシンプルで直感的なFPSを好む人
- アイテム管理、医療操作、弾薬分配など操作が多い。
- ソロでガンガン無双したいプレイヤー
- ソロ戦術はほぼ機能せず、分隊の統制が勝敗の最重要要素になる。
- ラフに短時間だけ遊びたい層
- ゲーム時間や移動時間も長めで、じっくり腰を据える必要がある。
総括:リアル系FPSの“次の答え”になれるタイトル
Bellum のクローズドアルファはまだ完全版ではないが、
現段階でも“リアル系FPSの真骨頂”と呼べる体験がすでに成立している。
- 銃撃戦は重厚
- 連携は命綱
- 医療は生存の鍵
- 補給は戦闘の持続そのもの
- 死亡のペナルティが重い
- すべての行動が命に直結する
こうしたデザインは、近年主流の“カジュアル寄りFPS”では味わえない緊張感を生み、
Bellum を唯一無二の作品へ押し上げている。
アルファ段階で見えた課題も存在するが、
同時に「アップデート次第で化けるポテンシャルの高さ」も明確だった。
今後の正式リリースに向けた進化に期待しつつ、
リアル志向FPSファンはぜひチェックしておきたいタイトルだ。








