「PCの動作が重い」「ゲーム中にカクつく」「ファンの音がうるさい」――そんな症状、実は熱が原因かもしれません。
パソコンは高性能になるほど発熱量も大きくなり、とくにCPUやGPUなどの高負荷パーツは温度上昇によるパフォーマンス低下や寿命短縮のリスクがあります。
例えばCPUが高温になると、自動的に動作周波数を下げて処理を抑える「熱保護機能」が作動し、パフォーマンスに影響を与えることも。
こうしたトラブルを防ぐカギとなるのが「PC冷却ファン」です。
冷却ファンは、ケース内の熱を効率よく排出し、内部パーツの温度を一定に保つための重要な役割を担っています。
本記事では、PC冷却ファンの基礎知識や種類、選び方、そしておすすめ製品まで、初心者でもわかるよう丁寧に解説します。
自作PCはもちろん、ゲーミングPCの冷却対策を強化したい人にも役立つ内容です。
CPUクーラーと冷却ファンの違いとは?

「冷却ファンとCPUクーラーって、何が違うの?」と疑問に思う人も多いかもしれません。
どちらもパソコンの熱対策に使われるパーツですが、対象・構造・目的が大きく異なります。
ここでは、その違いをわかりやすく解説します。
CPUクーラーとは?
CPUクーラーは、CPU(中央演算装置)を直接冷やすための専用冷却装置です。
CPUはPCの頭脳にあたり、非常に高い負荷がかかるパーツ。
負荷中は最大100℃近くまで発熱するため、専用の冷却機構が必要です。
一般的なCPUクーラーは以下のような構造になっています:
- ヒートシンク(金属製の放熱板)
- 冷却ファン(風でヒートシンクを冷やす)
この2つの組み合わせで、CPUから出た熱を効率よく放散します。
また、CPUクーラーには以下の種類があります:
種類 | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
空冷式 | 冷却ファン+ヒートシンク構成 安価で扱いやすい | 一般用途・軽量ゲーミング |
水冷式(簡易水冷) | ポンプ+ラジエーター+冷却液で冷やす。 高性能 | ハイエンドゲーミング・OC構成 |
冷却ファンとは?
冷却ファンとは、PCケース全体の空気の流れ(エアフロー)を作り、内部にこもった熱を逃がすためのファンです。
「ケースファン」「リアファン」「フロントファン」などとも呼ばれます。
冷却ファンは以下のような用途に使われます:
- 外から空気を取り込む(吸気)
- 熱を外に逃がす(排気)
- GPUや電源など他の熱源のサポート冷却
冷却ファンはCPUだけでなくPC全体の温度管理に関与する、いわば“空気の循環係”です。
CPUクーラーと冷却ファンの違いを比較表で解説
比較項目 | CPUクーラー | 冷却ファン |
---|---|---|
主な対象 | CPU(1点集中) | ケース内部全体 |
構成 | ヒートシンク+ファン or ラジエーター(水冷) | 単体ファン |
主な場所 | CPUソケット上部 | フロント・リア・トップなどケース内各所 |
目的 | 高温になるCPUを直接冷却 | 内部空気の流れを作り、熱を外へ逃がす |
種類 | 空冷式 / 水冷式 | エアフロー型 / 静圧型 / RGB対応など |
- CPUクーラー=高温な火元を直接冷やす消火器
- 冷却ファン=部屋全体の空気の流れを作る換気扇
どちらか一方だけでは、PC全体の冷却は成立しません。
CPUクーラーとケースファンの両方を適切に使うことが、冷却対策の基本となります。
PC冷却ファンとは?

冷却ファンにはどんな役割がある?
PC冷却ファンとは、パソコン内部の熱を外へ逃がすための送風装置です。
CPU、GPU、電源、ストレージなど、パソコンを構成する多くのパーツは、動作中に熱を発生します。この熱がこもるとパーツの性能が落ちたり、最悪の場合は故障の原因になります。
冷却ファンは、ケース内の熱を効率よく排出し、パーツの動作温度を安定的に保つことで、PC全体の寿命とパフォーマンスを守っています。
特に、空気の流れ(エアフロー)をしっかり設計することで、冷たい空気の取り込み→温かい空気の排出がスムーズに行われ、安定した動作につながります。
PCに冷却ファンなぜ必要なの?
CPUやGPUなどの高性能パーツは、高負荷作業中に90〜100℃近い高温に達することがあります。
CPUが高温になると熱保護機構(Dynamic Frequency Scaling)が作動し、自動的に動作クロックが下がります。
これにより、発熱を抑える一方で処理能力は一時的に低下します。
つまり、冷却が不十分な状態では「ハードウェアの性能を100%発揮できない」可能性があるのです。
また、高温状態が長時間続くと、CPUやマザーボードのコンデンサ類にもダメージを与え、寿命を縮めてしまうことがあります。
そのため、適切な冷却ファンの設置は、単に熱を逃がすだけでなく、PCの性能維持と長期運用を支える根幹的な役割を担っているのです。
冷却ファンの種類と特徴
PC冷却ファンにはいくつかの種類があり、それぞれ役割や形状、性能が異なります。
用途や組み込み場所によって適したファンを選ぶことで、より効果的な冷却が可能になります。
ケースファンとCPUファンの違い
PCに搭載される冷却ファンは、大きく分けて以下の2種類に分類されます。
ケースファン
PCケースに取り付けられ、ケース内部の空気を循環・排出するファンです。
吸気(フロント)や排気(リア・トップ)として設置され、ケース全体のエアフローを作り出す役割を担います。
CPUファン(CPUクーラー)
CPUの上部に直接取り付けられたファンで、CPUヒートシンクに風を当てて冷却します。
空冷タイプと水冷タイプがあり、冷却性能や静音性に違いがあります。
- ケースファン=空気の流れを作る
- CPUファン=高温になるCPUを直接冷やす
エアフロー型と静圧型の違い
ファンには「エアフロー型(風量重視)」と「静圧型(圧力重視)」の2種類が存在します。
種類 | 特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|
エアフロー型 | 多くの空気を広く送る。風量が多く、静音性が高い | ケースファン(吸気・排気) |
静圧型 | 狭い隙間にも強い風を押し込む。風は直進的 | ラジエーター、ヒートシンク用(CPU水冷や空冷) |
ラジエーターのフィンやCPUクーラーのヒートシンクの隙間には、静圧型が最適。
回転数(RPM)と静音性の関係
冷却ファンの性能は「RPM(回転数)」でも評価されます。RPMが高ければ風量も大きくなりますが、その分騒音(ノイズ)も大きくなりがちです。
- 回転数が高い(2000RPM以上):冷却性能は高いがうるさくなりやすい
- 回転数が低い(1000RPM前後):静かだが冷却力はやや控えめ
最近は「PWM制御(自動回転数調整)」に対応したファンが主流で、温度に応じて回転数を変えることで静音性と冷却力を両立しています。
冷却ファンの選び方(用途別)

冷却ファンを選ぶ際には、PCの用途(ゲーム・作業・静音性重視など)やパーツ構成に応じて適切なスペックやタイプを選ぶことが重要です。ここでは、目的別の選び方を紹介します。
ゲーミングPCの場合
高性能なゲーミングPCでは、CPU・GPUの発熱が非常に大きいため、冷却性能を最重視すべきです。
- 高回転数・高風量タイプのファン(2000RPM前後)
- 静圧型ファン(ヒートシンクやラジエーター付き水冷との相性が良い)
- PWM対応ファンで温度に応じて回転制御
- エアフロー重視のケース設計との相性確認も重要
特にCPUをオーバークロックする場合は、冷却が不十分だとすぐにサーマルスロットリングが発生します。
ファンとヒートシンクをセットで選ぶのが基本です。
クリエイティブ用途(動画編集3DCG)
動画編集や3Dレンダリング、AI処理など長時間の高負荷処理が続く用途では、静圧と耐久性に優れたファンが適しています。
- 長時間稼働に強い耐久設計(MTBF 15万時間以上)
- 静圧型ファン+ヒートシンク or ラジエーター冷却
- 静音設計(ノイズレベル20dB以下)も重要
加えて、高品質なベアリング(FDBやSSO2)を採用しているモデルを選ぶと、振動が少なく長寿命です。
静音性を重視したい人向け
深夜の作業や寝室でのPC利用が多い人は、冷却性能よりも静音性を重視して選ぶのがよいでしょう。
- 低回転(800〜1200RPM)で運用可能なファン
- ベアリング性能が高いファン(FDB/流体軸受)
- ブレード形状に工夫があり、風切り音を抑えた設計
- 防振パッド付きフレームが理想
Noctuaやbe quiet!、ARCTICなどのファンは静音性が高く、実際のノイズ測定値(dB)が公表されているため、安心して選べます。
冷却ファンに関するQ&A(FAQ)
Q1:冷却ファンは何個つければいい?
A. 最低でも2個(吸気+排気)が基本構成です。
標準的なATXケースでは、フロント吸気×1〜2、リア排気×1を基本とし、上位ゲーミング構成ではトップ排気やボトム吸気も加えることで、前から空気を入れて、後ろや上から出す」流れ(エアフロー)を確保します。
Q2:自作PCじゃなくてもファンは交換できる?
A. 多くのBTOパソコンやメーカー製PCでも交換可能です。
ただし、ケースの構造やマザーボードのファン端子数、ファンサイズなどの制限があるため、互換性の確認が必要です。
特にスリムPCや小型ケースでは設置スペースが限られることがあるため注意しましょう。
Q3:RGB付きのファンって性能に影響ある?
A. 見た目の装飾であり、基本的に冷却性能とは無関係です。
ただし、LED制御用のケーブルやハブが必要になる場合があり、配線が複雑になる点には注意が必要です。
また、一部の低価格RGBファンでは、静音性や耐久性が犠牲になっている場合もあるため、信頼性の高いメーカーを選ぶと安心です。
Q4:ファンの音がうるさい場合の対処法は?
A. 以下のような対策が有効です。
- マザーボードBIOSやソフトウェアで回転数を制御(PWM設定)
- 静音性の高いファンへ交換
- ファンの取り付けねじを緩めすぎない/防振ゴムを活用
- ホコリ掃除で風切り音や異音の原因を取り除く
ゲーミングPC向け|おすすめ冷却ファン5選(2025年版)
ゲーミング用途では、高い冷却性能・長時間の安定稼働・静音性・デザイン性のすべてが求められます。
ここでは、多くのゲーマーから支持されている冷却ファンを5つご紹介します。
Noctua NF-A12x25 PWM
高品質・高静圧の代名詞的存在。
冷却性能と静音性の完璧なバランスを実現。
- サイズ:120mm
- 回転数:450~2000RPM(PWM対応)
- ノイズ:最大22.6dB
- 特徴:SSO2ベアリング、優れた静圧設計でヒートシンクやラジエーターにも最適
- 価格帯:約3,000〜4,000円
静音性と性能を両立したい人に最適!
高負荷ゲーミング・クリエイティブ用途にも対応!
ARCTIC F12 PWM PST
コスパ最強クラスの冷却ファン。
複数ファンを連携できるPST対応で拡張性◎。
- サイズ:120mm
- 回転数:230~1350RPM
- ノイズ:最大22.5dB
- 特徴:低価格ながらもPWM制御と連結対応。省電力設計
- 価格帯:約1,000〜1,300円
ゲーミング初心者や複数ファンを導入したい人におすすめ!
安価だが性能と静音性に定評あり!
be quiet! Silent Wings 4 120mm PWM High-Speed
静音ファンの王者ブランド。
高静圧と極めて静かな動作音でゲーミングにも◎。
- サイズ:120mm
- 回転数:最大2500RPM(モデルによる)
- ノイズ:最大31.2dB(High-Speedモデル)
- 特徴:防振マウント&高精度FDBベアリング搭載。風切り音を極限まで抑制
- 価格帯:約2,500〜3,500円
高負荷でも静かに冷やしたいプロゲーマー向け!
見た目もシンプルで高級感あり!
Cooler Master SickleFlow 120 V2 ARGB
デザイン×性能×価格の三拍子揃ったRGBファン。
冷却性能も高め。
- サイズ:120mm
- 回転数:650〜1800RPM
- ノイズ:最大27dB
- 特徴:ARGBライティング、エアフロー型。摩耗低減ベアリング搭載
- 価格帯:約1,500〜2,000円
見た目も映えるゲーミングPCを組みたい人向け!
カスタムPC初心者にも人気!
Lian Li UNI FAN SL120 V2
高級感あるデザインと連結構造が魅力のモジュール式ファン。
ビジュアル重視派に人気。
- サイズ:120mm
- 回転数:250〜2000RPM
- ノイズ:最大29.2dB
- 特徴:ファン同士が物理接続可能な独自構造、ARGB対応。専用コントローラー付き
- 価格帯:3個セットで約8,000〜10,000円
ARGB搭載PCを組みたい中〜上級者向け!
組みやすさと見た目の完成度が非常に高い!
まとめ|冷却ファンでPCを快適に、長く使おう
パソコンの性能や寿命を守るうえで、冷却対策は見えない最重要パーツのひとつです。
特にゲーミングPCのように高負荷がかかる場面では、冷却ファンの選定次第で「動作の安定性」「静音性」「パフォーマンス」が大きく左右されます。
本記事では、以下のポイントを解説しました:
- 冷却ファンとは何か・どんな役割を果たすか
- CPUクーラーとの違いや冷却の仕組み
- 冷却ファンの種類(静圧型・エアフロー型)や回転数の違い
- 用途別の選び方(ゲーミング・クリエイティブ・静音重視)
- 2025年最新のおすすめ冷却ファン5選
冷却ファンは数千円から導入できる、もっとも手軽で効果的なアップグレード手段です。
自分のPC環境やプレイスタイルに合ったファンを選ぶことで、より快適なパソコンライフを実現できるはずです。
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